魯山人 うつわの心 [著]黒田和哉


(株)黒田陶苑の黒田和哉氏が「魯山人 うつわの心」(B5版、163頁)をまとめ、(株)グラフィック社より刊行した。

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本書は、同氏が少年時代から近所で過ごした北大路魯山人の人物像と、提案した器の使い方、陶芸作品に焦点を当てて解説した写真集。

初期に手がけた金襴手や仁清・乾山風、九谷をはじめ染付、織部、志野、晩年の備前、銀彩にいたるまでを取り上げている。各美術館、コレクターの好意によって集められた「金らむ手津本」や「絵於里遍長板鉢」「金彩椿大鉢」「織部蟹平向」などをはじめとする名作や、あまり知られていなかった作品を含め全部で約170点を新たに撮影し、著者の視点から見た解釈のもとに「眼」と「手」、「心」と「脚」という観点で構成。特に器に料理を盛っているところでは「食器は料理の着物」と表現した独特な感性が的を射ていて圧倒される。

筆者が家族ぐるみで親しくしていたことにも触れ、風評されてる人物像とは違う「本来の姿」を語っている。長い間近くにいて、魯山人とやきものを良く知っているからこそ見える作品に対する思いやこだわりを一冊に表現。

(グラフィック社、2,500円)