国際陶磁器フェスティバル美濃’11

第1回は予想以上の11万人が来場


第1回(1986年)開催時の陶磁器デザイン部門のグランプリ受賞作品「POTS」

第1回(1986年)開催時の陶磁器デザイン部門のグランプリ受賞作品「POTS」

国際陶磁器フェスティバル美濃の第1回は「土と炎の国際交流」をテーマに1986年の11月2―9日、多治見市総合体育館で開催された。

開会式では、開催委員会総裁の上松陽助岐阜県知事が「世界43カ国から出品があった2070点の中から選ばれた優秀なやきものを皆様に見ていただきますが、これも皆様方のご協力のもとでここに開催の運びとなった」と挨拶、記念すべき第1回が始まった。

フェスティバルのメーンである第1回国際陶磁器展美濃’86では、陶磁器デザイン部門のグランプリ(内閣総理大臣賞)に「POTS」(杉浦豊和、小松誠、杉浦正之、喜田智明、杉浦友義、杉田恵三、加藤正光の各氏)が受賞。森正洋審査委員長は「美しく新しい形、新しい機能性、新しい表現の技術、新しい材料の使用、高度な技術開発によるものなど、第1回にふさわしい作品が選ばれたことを喜ぶとともに、本展を契機として陶磁器デザインの一層の努力と発展を切望します」とコメント。陶芸部門では「The Burned Triangles」(シャルタン・タルボ氏)がグランプリ受賞。乾由明審査委員長は「審査は多数決による判定をできるだけ避けて、徹底した討論によって行われた。入選率12%と厳しい選考にパスした作品はいずれも極めて密度の高い優れた出来ばえの仕事である。おそらくこの展覧会は、国際的に見ても、最も充実した見ごたえのある現代陶芸展になるものと思う」と総評した。

会期中にはセミナーなどが開催され、国際交流の場として貴重な意見や情報が交換された。国際陶磁器デザインシンポジウムでは「21世紀の生活文化とデザイン」をテーマに、池田満寿夫氏の特別講演やパネルディスカッションが行われ、世界の陶磁器市場の動向や日本の陶磁器業界の問題を討議した。国際陶磁器デザインセミナーでは、世界を代表するトップデザイナーであるニーノ・カルーソ、ロイド・E・ハーマン、会田雄亮、森正洋、寺光彦の各氏による短期集中講座を開講。国際陶芸フォーラムでは国内外の陶芸界の潮流を学び、ワークショップを体験。美濃ならではのやきものの歴史を見学した。
 会期中は好天に恵まれ、連日新聞やテレビなどで報道されたこともあり、地元はもとより全国各地から予想を上回る11万198人の来場者があり、第1回は成功裏に終了した。